これからロードバイクを買うなら、ディスクブレーキのモデルがおすすめです。メリットは、まず長い下り坂を安全に走れること。リムの過熱による制動力の低下や、リムの熱がチューブ(特にTPUチューブの場合)に伝わる心配がないことです。次に雨の中でも安全に走れること。どんなに良いリムブレーキでも、晴れの日と比べれば制動力は落ちます。ディスクブレーキの場合には、摩擦熱でローターがすぐ乾くので、制動力の低下の度合いは小さいです。さらに、リムの摩耗がないので、ホイールが長持ちするというメリットもあります。
反対にデメリットとしては、フレーム重量がリムブレーキ・モデルより少し増えること、ローターの分の重量が増えること、フロントホイールが左右対称にならないことくらいです。
ディスクブレーキには、油圧式と機械式があります。おすすめは機械式です。リムブレーキと同様に、ワイヤーで引っ張るタイプです。ブレーキレバー(STI)は、リムブレーキのものがそのまま使えます。油圧式のメリットはレバー操作が軽いことですが、冷静に考えたら、それしかメリットはありません。ブレーキの効き自体はブレーキパッドとローターの組み合わせで決まります。油圧式も機械式も、パッドとローターは共通です。操作の軽さを最重要視するなら油圧式という選択になりますが、そうでなければ機械式で問題はないということになります。機械式ディスクブレーキの操作の重さといっても、リムブレーキの時と変わりません。
機械式は自分でメンテナンスができます。油圧式も工具さえ揃えればできなくはないでしょうが、普通は自転車屋に頼むことになると思います。あと、これが油圧式の最大のデメリットだとぼくが考えるのは、STIの重量が大きいことです。TiagraのSTIは、リムブレーキ用だと500gちょっとですが、ディスクブレーキ用は600gを軽くオーバーします。500gでも重いのに、600gもハンドルの先端部に掛かったら、ロードバイクらしい動きにはなりません。流石にDura-AceのSTIは軽く作られていますが、それは電動変速だからです。Dura-Aceのリムブレーキ用のSTIは、さらに軽くなっています。Dura-Aceまで視野に入れてバイク選びをするなら油圧式も有りですが、手頃な価格でロードバイクを楽しみたいとか、初めてロードバイクを購入するという場合には、おすすめは機械式ディスクブレーキです。

手持ちのパッドとローターの組み合わせを表にしてみました。◎:文句無しに良い、◯:効きは良いけど音鳴りがある等、△:次第点レベルの効き、あるいは効きは良いけど音鳴りが酷かったり、コントロール性が悪い等。一番大事な効きに問題があれば✕にしますが、それはなかったです。最近はわかりませんが、エントリーグレードのリムブレーキには明らかに効きが不十分なものがありました。そうしたものが✕の評価になります。それとディスクブレーキは、パッドとローターの慣らし(「焼き」を入れるとも言います)が不十分だと効きません。性能の評価をする際には、慣らしの終わったパッドとローターを使う必要があります。慣らしは、20%の下り坂なら200mで済みますが、10%の下り坂なら2km、5%の下り坂なら10km程度は必要でしょう。
シマノのロードで主力のレジンパッドK05S-RX(フィン付きは品番がL05A-RFになります)は、シマノのローターと相性がいいです。この列の◯はほとんど◎に近い◯です。効きは十分で、音鳴りもありません。Promaxのレジンパッドは、純正ローターだと音鳴りがありますが、シマノのSM-RT54とは相性が良く、音鳴りもありません。Promaxのメタルパッドは、メタルパッドらしい効き方で、どのローターと組み合わせても効きますが、やはり音はします。ただIIIPRO以外のローターでは、メタルパッドとしては許容範囲内の音だと思います。MicrOHEROのBP-C018は、ちょっと変わったパッドです。摩擦材にカーボンを使っています。効きは十分なのですが、キーキーという音がかなりします。それもパッドが温まると音はなくなり、パッドが冷えてくるとまた音がするという、温度に依存したパッドです。
エントリーグレードのディスクブレーキ・ロードでは、シマノ製以外のキャリパーやローターが付いてくることが多いのですが、効きに関しては大きな問題はないはずです。ただキーキーという音が出る問題は残ります。無音になる組み合わせもあれば、許容範囲内の音の場合もあり、あるいは耐えがたい音が出る場合もあります。音鳴りの原因ですが、次のふたつの要素に分けられると思います。

まずは力学的な問題です。リムブレーキでもシューがリムと平行になってなかったり、シューの一部しかリムに掛かっていない場合に音鳴りすることがあります。片側ピストンのディスクブレーキ・キャリパーでは、パッドとローターの接触がどうしても不均等になります。リムブレーキからの類推で、接触における不均等が音鳴りの原因になっていることは十分考えられます。ちなみに油圧式は対向ピストンなので、接触面には均等な圧力がかかるため、この種の音鳴りはありません。機械式は、TRP Spyre等が対向ピストンですが、ほとんどのキャリパーは片側ピストンです。また、ローターとの相性といった場合、ローターの材質や表面仕上、放熱用の孔のデザインが問題にされますが、それだけでなくて、スパイダーアームの曲げ剛性の影響が大きいのではないかと思います。あと付随的にこの図からわかるのは、ナローローターにワイドパッドの組み合わせは、スパイダーアームを削るので避けた方が良いということです。
もうひとつはパッドの素材の問題です。メタルパッドよりレジンパッドの方が静かだと言われています。たしかにシマノのレジンパッドK05S-RXは無音です。でも音鳴りのするレジンパッドもあります。レジンパッドは、各メーカーによりいろいろです。ローターとの相性もあって、他のローターはだめでも特定のローターとなら音鳴りが収まる場合もあります。メタルパッドは、観察してみると面白くて、高負荷の時には音がしません。15%以上の勾配を下る時には音がしません。また平坦路での40km/hからの急制動では、ブレーキの掛け初めは音がしますが、実際に減速する過程では音はしません。だらだらとした緩い下りで、ときどき速度調整するような場面では、あまり音はしません。音がするのは、しばらくブレーキを使わずにいた後でブレーキを掛ける場合です。メタルパッドの場合は、パッドの温度に依存しているように思われます。どんな場面で音鳴りがしそうか、ある程度想像が付きます。それにメタルパッドからのキーキー音は、個人差もあるかもしれませんが、それほど不愉快な音ではありません。カーボンパッドは、温度依存性が極端なケースと考えられます。MicrOHEROのBP-C018は、バックプレートがアルミ製ということもあって、熱しにくく冷めやすいパッドと言えるでしょう。ダウンヒルのような、常にブレーキを使っているような状況でしか使えないと思います。
この2つの要因、力学的な要因と素材的な要因でディスクブレーキの音鳴りが発生すると、現時点では考えています。素材面では、レジンパッドは各メーカーによって組成が違うので一概には言えませんが、メタルパッドについては、温度依存性が大きいと言えるでしょう。
ぼくはディスクブレーキ・ロードは2台持っていて、1台はシマノのBR-RS305に純正レジンパッド、もう1台はPromaxのDSK-330Rに純正メタルパッドで乗っています。レジンパッドで、十分な効きが得られ、音鳴りもないならば、それがベストです。そうでない場合、次善の策としてメタルパッドに交換するという手があります。効きに関しては間違いなく効きます。あとは音鳴りの問題とコントロール性の問題ですが、メタルパッドの特性を頭に入れていれば、そんなに不愉快な音がするわけではないし、コントロール性も許容範囲内です。

コメント
ディスクブレーキの音鳴りの原因を2つ挙げていますが、実はもうひとつあると最近感じています。それは、パッドとローターが接触することで発生するダスト(削りカス)です。例えば善峯寺のような20%勾配の下りでは、音鳴りはしません。下りが5%くらいの緩やかさになった時に音鳴りがします。でも善峯寺に登る前には、5%の下りでも音鳴りはほとんどなかったのです。パッドが冷えているから音鳴りがするというのでは説明できません。毎回乗った後に、ローターを水かアルコールで拭いていますが、勾配のきつい坂を下ったあとではローターにかなり汚れが付着しています。メタルパッドの方がレジンパッドよりも汚れは酷いです。メタルパッドの場合には、ローターとの摩擦で金属粉が発生するわけですが、この金属粉が音鳴りの原因のひとつではないかと思うわけです。長距離を乗ったとしても、平坦なコースならそれほどブレーキを酷使するわけではないので、音鳴りは発生しません。でも勾配のきつい下りでは短距離でも発生します。対策としては、ツーリングの途中でも、ローターを水拭きすることでしょうか。