数年前、ロードバイクではリムブレーキが主流だった頃ですが、最初に選ぶバイクの予算は10万円を見ておけば十分でした。最近は値上がりしていて、リムブレーキ車で15万円、ディスクブレーキ車では20万円程度を見込む必要があります。値上がりの要因はふたつあって、ひとつは原材料の高騰や円安によるもの。もうひとつは、ディスクブレーキ等の新しい技術が導入されたことによるものです。
まずひとつ目ですが、原材料や燃料の高騰もありますが、日本はフレームからパーツまでほとんどを輸入や海外生産に依存しているわけですから、為替レートが円安になれば、当然ロードバイクの値段は上がります。現在の円安は、一過性ではなく、日本の生産性が落ちてきていることの反映です。バブル崩壊後、日本はほとんど経済成長していません。1人当たりGDPでは既に台湾や韓国に並ばれています。抜かれているかもしれません。経済の状況がこうである以上、ロードバイクの値上げは仕方ありません。
ふたつ目ですが、新しい製品の研究開発に掛かった費用は、製品の値段に上乗せされます。それを生産するための設備投資も、当然製品の値段に上乗せされます。問題は、そうした新しい技術を使った製品が、エントリーグレードのロードバイクにもたらす影響です。エントリーグレードのロードバイクが、旧来の技術で作り続けられるならば、ふたつ目の要因による値上がりとは無縁なはずです。なので、新しい技術が、どういう形でエントリーグレードに関わってくるのかをまず考える必要があります。
ディスクブレーキ化は、単にブレーキだけの問題ではありません。ディスクブレーキ自体は昔からありますし、MTB界ではロードバイクに先駆けて普及しています。ロードバイクにおけるディスクブレーキ化の意味は、フレーム、ホイール、タイヤ、変速機等のすべてに影響を及ぼしているということにあります。リムがブレーキシューの当たり面としての役割から解放されることで、ホイール設計の自由度が増します。リムをワイド化することが空力上も有利で、それに合わせてタイヤもワイド化しますが、タイヤのワイド化でバヴェの走破性や乗り心地が改善され、それがフレーム設計にフィードバックされます。電動変速には、ディスクブレーキ化で重くなったレバーを軽量化するという理由もあるでしょう。こうして、すべてが互いに関連しています。目指すところは、より速く走るというロードバイクの本来の姿です。ロードバイクがレース機材だということを、最近の技術の進歩は再認識させてくれました。
レース機材へのあこがれは、ロードバイクに乗るモチベーションになり得ます。自動車もそうなのですが、自分が実際レースに出るのでなくても、レース機材を使っているということで気分が高揚します。ロードバイクでディスクブレーキが普及する以前は、フレームの規格はエントリーグレードもハイエンドも同じでした。極端な話をすれば、エントリーグレードのフレームに、レース機材であるDura-Aceを組み込むということが可能でした。安くても筋の良い、いわゆる走るフレームというのは、探せばあるので、お金を掛けずに楽しむことが可能でした。コンポを全部Dura-Aceで揃えなくても、他のグレードと混在するのも可能でしたし、少しずつアップグレードするというのも可能でした。
それが今、事情がガラッと変わっています。リムブレーキ用のフレームには、ディスクブレーキは取り付けできません。幅の広いタイヤを取り付けるには、フレームが対応している必要があります。電動変速を使うには、フレームが対応している必要があります。メーカーは、互換性を切り捨ててきたわけです。ただ互換性を切り捨てたからといって、エントリーグレードを切り捨てたということにはなりません。リムブレーキ用のフレームは販売されていますし、シマノは8速、9速、10速のパーツを供給し続けています。レース用機材と一般用機材とを、単にメーカーは分けてきたということです。11速、12速のコンポはレース機材という位置づけです。電動変速と油圧ディスクブレーキが前提です(一部例外はありますが)。なので、エントリーグレードのフレームと、レースで使うようなハイグレードのフレームとの互換性はありません。つまり、最初のロードバイクを選ぶ段階で、高いハードルを課せられるわけです。将来11速や12速が必要になるかもしれないとしたら、最初から11速や12速のロードバイクを買っておくしかないのです。そうでないとフレーム、コンポ、ホイールごと買い直しになります。なので最初に買うバイクが30万円以上とかいう話になり、これからロードバイクを始める人にとってはハードルが高いというわけです。
最初から競技に出ることが前提ならば、当然11速や12速を選ぶことになるでしょうし、指導者のアドバイスに従うことになるでしょう。そうでなくて、ただロードバイクを楽しく乗りたいという場合、ぼくも含めてなのですが、別のアプローチがあります。円安による値上がりは甘受するしかないですが、まだまだロードバイクはリーズナブルな値段で楽しめます。その楽しみ方を、このサイト(掲示板を含む)で書いていきたいと思います。
参考に、15万円(税込)で買えるロードバイクをまとめてみました。2024年5月現在。ただし既にメーカー在庫がないものもあります。すべてのメーカー、モデルを網羅するものではありません。特に記載がないものは、8速または9速、リムブレーキ仕様です。
定価15万円以下
1.NESTO(ネスト)Falad:96,800円 コンポはTourney7速
2.FUJI(フジ)Ballad R:108,900円 変速はWレバー
3.TREK(トレック)Domane AL2 Rim:109,890円
4.ANCHOR(アンカー)RL3DROP:112,000円
5.RALEIGH(ラレー)Carlton-B:121,000円 機械式ディスクブレーキ(ただしクイックリリース)
6.MERIDA(メリダ)RIDE 80:126,500円
7.GIANT(ジャイアント)CONTEND 2:129,800円
8.GIOS(ジオス)FENICE:135,300円
9.MERIDA(メリダ)scultura 100:141,900円
10.BIANCHI(ビアンキ)VIA NIRONE 7:141,900円
実売で15万円を切るかも
11.SCOTT(スコット)Speedster 40 Rim:154,000円
12.CORRATEC(コラテック)Dolomiti:158,400円
13.CANNONDALE(キャノンデール)CAAD Optimo 3:165,000円
14.SPECIALIZED(スペシャライズド)ALLEZ E5 SPORT:170,500円
以上


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