過去スレに「フロントシングル」と「シマノ8速」があります。フロントシングルは、チェーン落ち対策をどうするかといった議論もありますが、ほとんどはギア比の話です。ギア比の計算は、スプロケットを想定しないとできません。そこで8速から12速までを網羅的に検討することとなりました。シマノ8速というのは、シマノの8段の変速システムです。こちらは最初から8速のスプレットを使うことが前提です。ぼくが使っているシステムがシマノ8速であることから、使い続けていくにあたって、シマノ8速の全体像をあらためて把握するという目的がありました。ふたつのスレは同じ時期に並行して進んでいたわけですが、実際の意図は、シマノ8速でのフロントシングル化の有効性を実証したいということでした。結局パーツというのは、自分がバイクをどういう風に乗りたいのかを抜きしては選べません。それぞれのスレでは、網羅的な検討を行ってきたのですが、最終的な目標は、シマノ8速でのフロントシングル化であり、そのベストなパーツの組み合わせを決めることでした。その後掲示板の方で書いた内容も併せて、今現在のフロントシングルかつシマノ8速の着地点を記録しておきます。
フロントシングルのメリットは、フロント変速がなくなることで機構がシンプルになること、アップダウンの有るコースでフロントを変速するタイミングを考えずに済むということです。シマノ8速のメリットは、メンテナンスがしやすいこと、維持コストが安いこと、パーツの供給が将来も行われるだろうことです。パーツの供給については、絶対にそうとは言えませんが、シマノはエントリーグレードとして8速は残すと思います。両者のメリットが相乗することで、シンプルでタフなシステムになります。維持管理のストレスも軽減されます。ロードのシマノ8速は、Clarisグレードです。Clarisは、ロード用コンポの一番下という位置付けですが、JIS規格の変速用チェーン(1/2 x 3/32)を使うシステムの最上位という位置付けでもあります。
ギア比の条件:
平地で常用するギアは、ギア比2.5から2.6の間。ひとつ上のギアは2.8程度が理想。ひとつ下のギアは2.3から2.4が理想。それ以外のギア間の歯数差はそれほど気にしない。トップギアは3.5程度あれば十分。ローギアは1.2程度あれば十分。
普段ロードバイクに乗る中で、経験的にこの条件に収束していきました。あくまで理想であって、実際にはこの通りにはなりませんが、かなり近い状態はフロントシングルでも実現可能です。11-34T(CS-HG41-8)のスプロケットと38Tのチェーンリングの組み合わせです。
R-11-34T:11 13 15 17 20 23 26 34
F-38T :3.45 2.92 2.53 2.24 1.90 1.65 1.46 1.12
CS-HG41-8に11-34Tというスプロケットがあることによって、8速のフロントシングル化が可能になったと言っても過言ではありません。11-34Tのスプロケットの構成は2種類あって、トップから4枚目が18Tのものと17Tのものがあります。品番で言うとCS-HG41-8のスプロケットだけが17Tで、他の品番(CS-HG50-8、CS-HG31-8)は18Tです。18Tだと15Tからのギア比が開きすぎてしまいます。17Tならかろうじてギアがつながる感じです。ローギアの1.12が低すぎると感じるならば、チェーンリングを大きくすることも考えられます。
R-11-34T:11 13 15 17 20 23 26 34
F-42T :3.82 3.23 2.80 2.47 2.10 1.83 1.62 1.24
ただここでの問題は、17Tと20Tの間でギア比が開きすぎることです。それさえ気にしなければ、この組み合わせでもいいと思います。
視点を変えて、フロントをダブルとし、FDを付けない方法を検討します。フロント変速するのをフロントダブルと呼ぶならば、フロント変速なしの場合はダブル・シングルと呼んでいいと思います。シングルを並列しただけということです。FDがなくても、停車時に手でチェーンを掛け換えることは可能です。つまりコースによって、平坦コースなら大きいチェーンリング、山岳コースなら小さいチェーンリングを使うということです。頻繁にチェーンを掛け換えることは想定していません。出発時に設定したチェーンリングのままで走り切る場合がほとんどだと思います。11-28T(CS-HG51-8、CS-HG50-8)のスプロケットに44Tと34Tのチェーンリングを組み合わせるとこうなります。
R-11-28T:11 13 15 17 19 21 24 28
F-44T :4.00 3.38 2.93 2.59 2.32 2.10 1.83 1.57
F-34T :3.09 2.62 2.27 2.00 1.79 1.62 1.42 1.21
44Tのチェーンリングではロー側のギアが足りず、34Tのチェーンリングではトップ側のギアが足りないように見えますが、実際には困ることはないと思います。それにどうしてもという時には、手袋は汚れますが、手でチェーンを掛け換えればいいだけです。11-28Tは、構成がよく出来たスプロケットです。各ギアのつながりがいいです。それにRDにショートケージが使えるというメリットもあります。ClarisグレードのRD-R2000-SSは、ローギアが32Tまでのスプロケットで使えます。34Tになると、ミディアムケージのRD-R2000-GSが必要です。
フロントシングル化に伴うチェーン落ちの対策ですが、歯の並びがナローワイドになったチェーンリングを使うのが効果的です。チェーンキャッチャーも試しましたが、いまいち効果がわかりませんでした。そもそもオンロードでは、普通のチェーンリングでもチェーンが落ちることはあまりないのですが、ナローワイドのチェーンリングにしておけば安心と言えるでしょう。通信販売の2千円台や3千円台のチェーンリングで十分です。ロードのクランクでは、5本アームのPCD110用と130用、4本アームのPCD110用があります。
フロントシングル用のクランクとして、GRXやCUESがあります(MTB用を含めればもっと有りますが、MTB用は省略します)。でもそうしたフロントシングル専用品を使わなくても、ロード用クランクのチェーンリングを交換するだけでフロントシングル化は可能です。アウター、インナー、どちらのチェーンリングを交換しても構いません。チェーンリングの大きさによっては、フレームと干渉するためインナーには付けられない場合もあります。その場合はアウターに付けます。いずれにしても、チェーンラインはそれほどシビアではありません。ダブル・シングルの場合は、インナーを残して、アウターをナローワイドに交換します。インナーではチェーン落ちすることはないので、インナーは普通のギアのままで問題ありません。
ただし現在の4本アームクランクや、5本アームでもUltegraとDura-Aceのクランクは、エアロ形状になっているため、専用品でないチェーンリングを取り付けると、アームとの間に段差ができて見た目がよくありません。フロントシングル化を考えるなら、手に入る間に、5本アームのクランクを手に入れておいた方がいいです。
FC-RS500:ホローテックBB、PCD110
FC-RS200:スクエアテーパーBB、PCD110
FC-S500、S501:ホローテックBB、PCD130
105グレードの中空クランクでは、FC-5750がありましたが、現在では程度のいいものは中古で手に入らないと思います。
シフターは、ドロップハンドルならClarisのSTI、ST-R2000が変速性能が良いので、これで十分です。左レバーの変速機能は使わないのでダミーになります。しかしSTIレバーは重量がかなりあります(左右で500g以上)。左レバーを、ブレーキレバーのみのBL-R400等に換えれば軽量化できますが、左右のバランスが崩れるので、あまりおすすめしません。ぼくはカンパニョーロのXenon9速のエルゴレバーを使っています。カンパニョーロ9速はシマノ8速となぜか互換性があります。エルゴレバーは、STIより左右で150gくらい軽量です。しかしXenonのコンポは今は手に入りません。
フラットバーハンドルならば、グリップシフト(レボシフト)がおすすめです。8速用の品番は、SL-RV400-8Rです。ハンドルから手を離さずに変速でき、変速のフィーリングもいいことから、グリップシフトはもっと見直されてもいいと思います。
フロントシングル化のその他注意点として、チェーンリングが小さくなると、チェーンがチェーンステーと接触しやすくなることが挙げられます。チェーン長さを適正にしたとしても、38Tだとトップギアで、路面が荒れているところでは接触します。42Tならほぼ大丈夫です。クランクを回し続けていれば接触することはないのですが、足を止めると接触します。接触したからといって、カチッという音がする程度で、チェーンステーが削られるわけではありません。なので、乗り方と、どこまで気にするかという問題になってくると思います。


コメント